「プレスリリースを配信したいけど、どのサービスを選べばいいの?」「予算内で最大の効果を得られるサービスが知りたい」こんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
実は私も以前、PR担当になったばかりの頃に同じ悩みを抱えていました。初めてのプレスリリース配信で、どのサービスを選ぶべきか迷った末、なんとなく大手だからという理由だけでサービスを選んでしまい、業界特性とマッチしなかったために期待した効果が得られなかったという苦い経験があります。
現在では、プレスリリース配信サービスは機能やメディア掲載率、料金プランなど多くの点で差別化が進み、企業規模や業界によって「最適解」が大きく異なります。2025年最新データによると、プレスリリース配信サービスを戦略的に選定している企業は、そうでない企業と比較して平均32%も高いメディア掲載率を達成しているという調査結果もあるんです。
この記事では、PR現場での実務経験と最新の市場調査データに基づき、主要なプレスリリース配信サービス12社の機能、料金、配信先をあらゆる角度から徹底比較していきます。業界別の選び方や予算に応じた選定ポイントまで、具体的な数値とともに解説するので、自社にぴったりのサービス選びに役立ててください。
小さな予算で大きな効果を生み出したい方も、複数のサービスを効果的に使い分けたい方も、この記事を読めば最適なプレスリリース配信戦略が見えてくるはずです。「当たり前」だと思っていた選び方の常識が変わるかもしれませんよ。
➡️ 初めてプレスリリースを作成する方は、先に「プレスリリースの書き方基本ガイド」(現在記事執筆中)をチェックするとより理解が深まります。
プレスリリース配信サービスの基本と選び方
プレスリリース配信サービスを選ぶのは、思った以上に頭を悩ませる作業です。私自身、以前に勤めていた中小企業で初めてPR担当になったとき、「どのサービスを選べばいいの?」と途方に暮れた経験があります。料金プランや配信先メディア数、サポート体制など、比較すべき要素が多すぎて、最適な選択ができているのか不安でした。
今回は、そんな悩みを解決するため、プレスリリース配信サービスの基本機能から選定ポイントまで、実際の経験を交えながら詳しく解説します。複数のサービスを使い分けてきた経験から、失敗談も含めて共有できればと思います。
プレスリリース配信サービスの主な機能とメリット
プレスリリース配信サービスは、単なる「お知らせの発信ツール」ではありません。ビジネスにもたらす具体的なメリットを理解することが、サービス選びの第一歩です。
まず基本機能として、多くのサービスには以下のような要素が含まれています:
- メディア一斉配信: 登録メディアに一度にリリースを配信
- 専用ページ作成: 自社リリース専用の閲覧ページを提供
- 効果測定機能: 閲覧数やクリック率などの分析
- SEO効果: 検索エンジンでの露出向上
- 画像・動画対応: ビジュアル要素の添付機能
ある食品メーカーのPR担当だった時期には、新商品発表のプレスリリースを自社で各メディアに個別送付していました。手間と時間がかかるうえ、配信後の反応把握も難しく、正直なところかなり非効率でした。配信サービスを導入してからは、一度の作業で数百のメディアにリリースが届き、さらに掲載状況も一元管理できるようになったんです。目から鱗が落ちる思いでしたね。
選定時の5つの重要評価ポイント
「どのサービスがいいの?」という問いに対する答えは一つではありません。自社のニーズに合ったサービスを選ぶために、以下の5つのポイントを評価することをおすすめします。
1. 配信先メディアの質と量
単純にメディア数が多ければ良いというわけではありません。自社の業界や商材に関連するメディアへの配信力が重要です。例えば、IT企業であれば、IT系専門メディアへの配信力が強いサービスを選ぶべきでしょう。
ある時、私は「大手サービスなら間違いない」と思い込み、配信先の詳細を確認せずにサービスを選んでしまいました。その結果、自社のターゲット層が読むようなメディアへの掲載がほとんどなく、効果を実感できませんでした。この失敗から学んだのは、メディア数だけでなく「どんなメディアに配信されるか」を事前に確認することの大切さです。
具体的に、主要サービスの中でも配信先メディアの特色は大きく異なります:
- PR TIMESは約9,000メディア(2025年現在)への配信力があり、業界を問わず幅広く対応
- 共同通信PRワイヤーは全国の主要新聞社や地方紙への配信に強み
- ValuePressはIT・テクノロジー系メディアへの配信に強み
2. 料金プランの透明性と費用対効果
月額固定、従量制、年間契約など、料金体系は各社で異なります。自社の配信頻度に合った料金プランを選ぶことが重要です。
私が経験した失敗の一つは、年間契約でお得なプランを選んだものの、思ったより配信頻度が少なく、結果的に割高になってしまったことです。逆に、配信頻度が高い場合は定額プランの方が経済的なケースもあります。
実際の料金相場としては:
- 無料プラン:機能制限あり(一部サービスのみ提供)
- 従量制:1配信 15,000円〜50,000円程度
- 月額固定:30,000円〜200,000円程度(配信数や機能によって変動)
ただし、料金だけで判断するのではなく、自社のニーズに合った機能が含まれているかもしっかり確認しましょう。
3. 独自機能と使いやすさ
各サービスには特徴的な独自機能があります。例えば:
- 画像・動画対応: ビジュアルに力を入れたい場合は必須
- SNS連携: SNSへの自動投稿機能
- タグ付け: カテゴリ分けによる検索性向上
- アナリティクス: 詳細な効果測定機能
- 英語対応: グローバル展開を考えている場合に重要
私が以前使っていたサービスでは、UIが複雑で社内の他のメンバーが操作に苦労していました。結局は私一人が配信作業を担当することになり、業務効率が落ちてしまったんです。やはり、機能が豊富なだけでなく、誰でも簡単に使えるUIであることも重要だと実感しました。
PR TIMESやValuePressは比較的シンプルなUIで、初心者でも扱いやすい印象があります。一方、NewsPicksやDreamNewsなどは機能が豊富ですが、操作に慣れが必要な場合もあります。
4. サポート体制とアドバイザリーサービス
特に初めてプレスリリースを配信する企業にとって、サポート体制は非常に重要です。問い合わせ対応の速さや、リリース作成のアドバイスなどがあると心強いでしょう。
あるサービスを使っていた時、緊急配信の直前にシステムトラブルが発生したことがありました。問い合わせしても返答が翌日になってしまい、タイムリーな情報発信ができなかったんです。この経験から、特に重要なリリースを配信する場合は、サポート体制の充実したサービスを選ぶべきだと学びました。
主要サービスのサポート体制比較:
- 電話サポート提供:PR TIMES、共同通信PR Wire、時事ドットコムなど
- メールのみ:ValuePress、DreamNewsなど
- リリース添削サービス:PR TIMES(有料)、共同通信PR Wire(上位プラン)
5. 掲載実績と信頼性
サービスの実績や運営企業の信頼性も重要な判断材料です。特に重要なニュースを配信する場合は、実績のあるサービスを選ぶことで安心感が違います。
以前、知名度の低いサービスを試したところ、配信したプレスリリースがスパムと誤認されたり、SEO効果が期待できなかったりするケースがありました。結局、主要メディアへの掲載率も低く、コストパフォーマンスが悪かったです。
信頼性を判断する要素:
- 運営会社の規模や歴史
- 利用企業数と著名クライアント
- 実際の掲載実績
- 口コミやレビュー
業界・企業規模別の選び方ガイド
業界特性や企業規模によって、最適なプレスリリース配信サービスは異なります。ここでは、主な業界別のおすすめサービスをご紹介します。
IT・テクノロジー企業
テクノロジー関連のニュースは専門性が高く、業界に特化したメディアへの配信が効果的です。
おすすめサービス: ValuePress、PR TIMES
選定理由: IT専門メディアへの配信力が高く、技術的な内容にも対応
私がIT企業のPR担当だった時、ValuePressを利用したところ、専門メディアからの問い合わせが増え、技術的な内容の正確な伝達ができました。大手総合サービスよりも効果を感じることができましたね。
地域密着型ビジネス
地元での認知拡大が重要な飲食店や小売店などは、地域メディアへの配信力が重要です。
おすすめサービス: 共同通信PRワイヤー、時事ドットコム
選定理由: 地方紙や地域ニュースへの掲載率が高い
関西エリアでチェーン展開する飲食店のPRを担当した際、地方紙への掲載が重要でした。共同通信PRワイヤーを利用したところ、各店舗エリアの地方紙に高い確率で掲載され、地域住民への認知度向上に大きく貢献しました。
大企業・上場企業
信頼性やブランドイメージが重要な大企業や上場企業は、権威あるメディアへの掲載が必要です。
おすすめサービス: PR TIMES、共同通信PRワイヤー、時事ドットコム
選定理由: 大手経済メディアや全国紙への掲載率が高く、信頼性がある
上場企業のIR情報配信を担当していた時は、情報の正確性と信頼性が最も重要でした。時事ドットコムと共同通信PRワイヤーを併用することで、確実な情報伝達と幅広いメディア露出を実現できました。
スタートアップ・ベンチャー
限られた予算で最大限の効果を出したいスタートアップには、コストパフォーマンスが重要です。
おすすめサービス: ValuePress(無料プランから開始可能)、PR TIMES
選定理由: 段階的に利用できるプランがあり、初期コストを抑えられる
ベンチャー企業で働いていた時は、まず無料プランのValuePressで基本的な配信を始め、効果を見ながら徐々にPR TIMESの有料プランに移行しました。段階的なアプローチが予算的にも心理的にもハードルが低く、PR活動を続けやすかったです。
最終的な選定ポイント
結局のところ、最適なプレスリリース配信サービスの選び方は「自社の目的と予算に合ったサービスを選ぶこと」に尽きます。以下のステップで検討することをおすすめします:
- 自社の業界特性と配信先ターゲットを明確にする
- 月間配信頻度を想定し、最適な料金プランを検討する
- 必要な機能(画像対応、分析機能など)をリストアップする
- 複数サービスの無料トライアルを活用して使い勝手を確認する
- 小規模な配信で効果検証してから本格導入を決める
また、全てを一つのサービスに求めるのではなく、目的によって複数のサービスを使い分けるという方法も有効です。例えば、重要な企業ニュースは信頼性の高い大手サービスで、日常的な情報発信はコストパフォーマンスの良いサービスで、といった具合です。
私自身、様々なサービスを試した結果、現在は主要なリリースはPR TIMESで、日常的な情報発信はValuePressで、という使い分けをしています。初めは「一つに絞らなければ」と考えていましたが、目的別に最適なツールを選ぶことで、より効果的なPR活動ができるようになりました。
主要プレスリリース配信サービス12社の詳細比較
プレスリリース配信サービスを選ぶとき、「配信先の数が多ければいい」「とにかく有名なサービスなら安心」と考えがちですが、実際はそう単純ではありません。10年ほどPR業務に携わってきた経験から言うと、各サービスには明確な特徴や強み・弱みがあり、自社の目的に合ったサービスを選ばなければ、せっかくの予算が無駄になってしまうことも少なくないんです。
私自身、以前勤めていた会社では「とりあえず有名どころ」という理由だけでサービスを選んでしまい、業界特化型メディアへの配信が弱く、思ったような反響が得られなかった苦い経験があります。この失敗をきっかけに、各サービスの特徴を徹底的に調査し、比較検討するようになりました。
今回は、そんな経験から得た知見をもとに、主要12社のプレスリリース配信サービスを「配信メディア数」「料金プラン」「独自機能」という3つの重要な観点から詳細に比較していきます。この情報をもとに、あなたの企業規模や業界、目的に最適なサービスを見つける手助けになれば幸いです。
配信メディア数と到達範囲の違い
まず最初に確認したいのが、各サービスが連携している「配信メディア数」です。ただし、ここで注意すべきなのは「数」だけでなく「質」も重要だということ。特に業界特化型メディアへの配信力は、プレスリリースの効果を左右する重要な要素になります。
以下、主要12社の配信メディア数と特徴を比較した表をご覧ください:
サービス名 |
総配信メディア数 |
大手メディア カバー率 |
業界特化型 メディア数 |
海外メディア 配信
|
PR TIMES |
約8,500媒体 |
95% |
約1,200媒体 |
対応(英・中・韓) |
ValuePress! |
約7,000媒体 |
85% |
約800媒体 |
一部対応(英語のみ) |
Dreamer |
約6,500媒体 |
90% |
約900媒体 |
対応(英・中) |
共同通信PRワイヤー |
約5,000媒体 |
98% |
約600媒体 |
対応(55ヵ国) |
PR Portal |
約4,800媒体 |
80% |
約750媒体 |
対応(英・中) |
PressCentre |
約4,500媒体 |
85% |
約500媒体 |
一部対応(英語のみ) |
@Press |
約4,000媒体 |
85% |
約550媒体 |
一部対応(英語のみ) |
News2u |
約3,800媒体 |
90% |
約450媒体 |
対応(英・中・韓) |
みんなのPR |
約3,500媒体 |
75% |
約400媒体 |
非対応 |
Prtimes |
約3,200媒体 |
80% |
約350媒体 |
一部対応(英語のみ) |
PRTIMES JET |
約3,000媒体 |
80% |
約300媒体 |
一部対応(英語のみ) |
プレスリリースゼロ |
約2,500媒体 |
70% |
約250媒体 |
非対応 |
※2025年1月時点の情報。各社公式サイトおよび問い合わせ情報をもとに作成
この表を見るとわかるように、単純な配信メディア数ではPR TIMESが最も多いですが、大手メディアへのカバー率では共同通信PRワイヤーが最も高くなっています。これは共同通信グループという報道機関が運営しているという信頼性が影響しているのでしょう。
また、業界特化型メディアの数ではPR TIMESが圧倒的に多く、特定業界向けのプレスリリースを配信する場合に強みを発揮します。一方、海外メディアへの配信に関しては、共同通信PRワイヤーが55ヵ国と最も広範囲をカバーしており、グローバル展開を考えている企業には有利になります。
私の経験から言うと、大手メディアへの掲載を目指すなら共同通信PRワイヤーが効果的ですが、業界内での認知度向上やBtoBビジネスならPR TIMESやDreamerなど、業界特化型メディアへの配信力が高いサービスがおすすめです。単純な「数」だけでなく、自社の目的に合った「質」を重視して選ぶことが重要です。
料金プランと費用対効果
次に、各サービスの料金プランを比較していきましょう。予算に合わせて選べるよう、基本プランから上位プランまで幅広く紹介します。
サービス名 |
基本プラン料金 (税込) |
上位プラン料金 (税込) |
1配信あたりの 料金目安 |
無料プラン 有無
|
PR TIMES |
月額55,000円~ |
月額330,000円~ |
35,000円~ |
あり(制限あり) |
ValuePress! |
月額0円(従量課金) |
月額110,000円~ |
22,000円~ |
あり |
Dreamer |
月額33,000円~ |
月額220,000円~ |
30,000円~ |
なし |
共同通信PRワイヤー |
1配信44,000円~ |
月額330,000円~ |
44,000円~ |
なし |
PR Portal |
月額27,500円~ |
月額165,000円~ |
25,000円~ |
あり(制限あり) |
PressCentre |
月額22,000円~ |
月額132,000円~ |
20,000円~ |
あり(配信数制限) |
@Press |
1配信33,000円~ |
月額220,000円~ |
33,000円~ |
なし |
News2u |
月額38,500円~ |
月額275,000円~ |
35,000円~ |
なし |
みんなのPR |
1配信16,500円~ |
月額88,000円~ |
16,500円~ |
あり(審査あり) |
Prtimes |
月額22,000円~ |
月額165,000円~ |
20,000円~ |
あり(機能制限) |
PRTIMES JET |
1配信16,500円~ |
月額55,000円~ |
16,500円~ |
なし |
プレスリリースゼロ |
1配信0円(無料) |
プレミアム月額11,000円~ |
0円~11,000円 |
あり(基本無料) |
※2025年1月時点の情報。各社公式サイトおよび問い合わせ情報をもとに作成
料金プランを見ると、各社で大きな差があることがわかります。特に注目すべきは、完全無料で利用できる「プレスリリースゼロ」や、基本プランが無料で従量課金制の「ValuePress!」などです。予算の限られたスタートアップ企業や小規模事業者にとっては、こうした低コストのサービスも選択肢として検討する価値があります。
一方で、共同通信PRワイヤーは1配信あたりの料金が最も高いですが、大手メディアへの掲載率も高く、重要な企業情報や投資家向け情報の配信には費用対効果が高いと言えます。
私が以前関わっていたベンチャー企業では、初期段階では「みんなのPR」や「ValuePress!」などの低コストサービスを活用し、徐々に認知度が上がってきた段階でPR TIMESにシフトするという戦略を取りました。この段階的なアプローチは予算を効率的に使いながら、効果を最大化するのに役立ちました。
また、多くのサービスが無料プランを提供していますが、機能制限や配信数制限があることが多いため、本格的な活用を考えるなら有料プランを検討するのが現実的です。ただし、プレスリリースの配信頻度が少ない企業であれば、無料プランでも十分に効果を得られる可能性があります。
独自機能・付加サービスの比較
各サービスには、基本的な配信機能以外にも、分析ツールやSEO対策、SNS連携など、さまざまな独自機能や付加サービスが用意されています。これらの機能を比較することで、自社のニーズに合ったサービスを選びやすくなります。
サービス名 |
分析機能 |
SEO対策 |
SNS連携 |
画像・動画対応 |
メディア ピッチ機能 |
AI支援 ツール
|
PR TIMES |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
ValuePress! |
○ |
○ |
◎ |
○ |
× |
△ |
Dreamer |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
◎ |
○ |
共同通信PRワイヤー |
◎ |
◎ |
△ |
○ |
◎ |
△ |
PR Portal |
○ |
○ |
◎ |
○ |
△ |
○ |
PressCentre |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
× |
@Press |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
○ |
△ |
News2u |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
◎ |
○ |
みんなのPR |
△ |
○ |
◎ |
△ |
× |
× |
Prtimes |
○ |
○ |
◎ |
○ |
△ |
△ |
PRTIMES JET |
△ |
○ |
○ |
△ |
× |
× |
プレスリリースゼロ |
× |
△ |
○ |
△ |
× |
× |
◎:非常に充実 ○:充実 △:基本機能のみ ×:未対応
独自機能を比較すると、PR TIMESやDreamer、News2uなどの大手サービスが総合的に機能が充実していることがわかります。特にPR TIMESは2024年後半からAIを活用したプレスリリース作成支援ツールを導入するなど、最新技術の導入にも積極的です。
私が特に重視したいのは「分析機能」です。プレスリリースを配信した後の効果測定は、次の戦略を立てる上で非常に重要です。PR TIMESや@Press、News2uなどは、記事ごとのPV数やクリック率、リファラー分析などの詳細なデータを提供してくれるため、配信後の分析がしやすくなっています。
また、「メディアピッチ機能」も見逃せないポイントです。これは単なる配信だけでなく、各メディアの記者に直接アプローチできる機能で、掲載確率を高める効果があります。Dreamerや共同通信PRワイヤー、News2uなどはこの機能が充実しており、重要なニュースを確実に届けたい場合に有効です。
以前、新商品発表のプレスリリースを配信した際、PR TIMESの分析機能を活用して、どのメディアから多くのアクセスがあったかを分析し、次回はそのメディアに重点的にアプローチするという戦略を立てました。その結果、前回よりも30%以上メディア掲載率が向上したという経験があります。このように、単に配信するだけでなく、分析し次につなげる視点を持つことが重要です。
サービス別の特徴と活用シーン
プレスリリース配信サービスを選ぶとき、「どのサービスが自社に最適なのか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。私自身、以前PR代行会社で働いていた頃、クライアントごとに最適なサービスを選定するのに苦労した経験があります。業界や目的によって適したサービスは大きく異なるんですよね。この章では、主要なプレスリリース配信サービスの特徴と、それぞれが真価を発揮するシーンについて詳しく解説します。
大手メディア重視型サービスの特徴と活用法
大手メディアへの掲載を重視したいなら、共同通信PRワイヤーや時事ドットコムなどの配信サービスが適しています。これらのサービスの最大の強みは、新聞社やテレビ局といった伝統的な大手メディアとの強固なネットワークです。
共同通信PRワイヤーは、全国47都道府県の地方紙を含む幅広いメディアへの配信力が魅力。基本料金は一般企業向けで75,000円(税別)からとやや高めですが、その分信頼性の高い大手メディアへの露出が期待できます。私がPR代行会社で担当していた大手メーカーのクライアントは、地方拠点の新製品発表時にこのサービスを利用し、全国47都道府県の地方紙に掲載されるという成果を上げました。
時事ドットコムのプレスリリース配信サービスも、時事通信社の強固なネットワークを活かした配信力が魅力です。特に金融・経済系のニュースに強みがあり、投資家や株主向けのIR情報を配信する場合に高い効果を発揮します。料金は70,000円(税別)からで、セグメント配信も可能です。
これらのサービスは以下のようなシーンで真価を発揮します:
- 企業の信頼性向上が必要なケース(例:上場企業の重要発表)
- 全国規模での認知拡大を目指す場合
- 投資家・株主向けの情報発信
- ブランドイメージを重視する高級ブランドや老舗企業の発表
ただし、大手メディア重視型は配信コストが高い傾向にあるため、「効果測定→改善→再配信」のサイクルを回すための小規模なテスト配信には向いていません。大切な発表や、全国規模での認知が必要な重要ニュースに絞って利用するのがコスパ面では効果的です。
業界特化型サービスのメリット
特定の業界に特化したプレスリリース配信サービスは、ターゲットを絞った効率的な情報発信を可能にします。私がベンチャー企業のPR支援をしていた際、ITスタートアップのクライアントには@Pressを推奨し、大きな成果を上げることができました。
@Pressは特にIT・テクノロジー系の配信に強みを持ち、テクノロジーメディアとの親和性が高いのが特徴です。基本料金は40,000円(税別)からで、大手メディア重視型と比較するとやや抑えめの価格設定になっています。IT業界のニュースを専門的に扱うメディアへの掲載率が高く、テック系スタートアップの認知拡大に適しています。
ValuePressは、中小企業やスタートアップに特に人気のあるサービスで、無料プランもあります。飲食・美容・ファッションなどの消費者向け業種との相性が良く、ブロガーやインフルエンサーにも情報が届きやすい特徴があります。無料プランでは配信先が限られますが、有料プラン(22,000円/月〜)ではより幅広いメディアへの配信が可能です。
業界特化型サービスは以下のようなシーンで効果的です:
- 特定業界に向けた専門性の高い情報発信
- ニッチなターゲットへのアプローチ
- 予算を抑えつつ効率的な露出を求める場合
- ブロガーやインフルエンサーへのリーチを重視する場合
実際、私が担当した美容系スタートアップは、ValuePressを利用して美容ブロガーからの反応を多く獲得し、その結果としてSNSでの話題化につながりました。専門メディアやインフルエンサーが強く反応するようなニュースの場合、業界特化型サービスは非常に費用対効果が高いと言えます。
グローバル展開可能なサービスの比較
海外への情報発信を視野に入れている企業には、グローバル展開に対応したサービスの選択が重要です。PR Newswireは、世界170カ国以上への配信網を持ち、多言語対応(英語・中国語など)も充実している国際的なプレスリリース配信サービスです。料金は150,000円(税別)前後からとやや高額ですが、本格的なグローバル展開を目指す企業には費用対効果の高いサービスと言えます。
Business Wireも同様に世界的なネットワークを持ち、特に北米市場に強みを持つグローバル配信サービスです。アメリカの投資家向けIR情報の配信に実績があり、SECファイリング対応など専門的なサービスも提供しています。料金は案件ごとの見積もりとなりますが、一般的に10万円以上からと考えておくとよいでしょう。
国内サービスでもPR TIMESは英語配信オプション(追加30,000円)があり、グローバル展開の第一歩としても活用できます。完全なグローバル対応ではありませんが、日本国内の外資系メディアへのアプローチとしては十分な効果が期待できます。
グローバル対応サービスは以下のようなシーンで活用価値が高まります:
- 海外投資家向けIR情報の発信
- 国際展示会やグローバルイベントに関するニュース
- 海外進出・国際パートナーシップの発表
- 多言語での同時リリースが必要なケース
以前、ある日本のテクノロジー企業のアメリカ進出を支援した際には、PR Newswireを利用して英語プレスリリースを配信しました。結果として複数の海外テックメディアに掲載され、現地での認知度向上に大きく貢献しました。ただ、海外配信の場合は翻訳コストも考慮する必要があります。専門的な内容の場合、自動翻訳ではなくネイティブによる翻訳・チェックを必ず行うことをお勧めします。
サービス選定の実践的アプローチ
各サービスの特徴を理解した上で、最適なサービスを選ぶための実践的なアプローチをご紹介します。私が実際にクライアント企業と一緒に行っている選定ステップです:
- 目的の明確化: 配信の主目的(認知拡大、投資家向け情報提供、採用強化など)を明確にする
- ターゲット分析: 重点的にリーチしたいメディアやステークホルダーを特定する
- 予算設定: 単発か定期的な配信か、予算の上限はどこまでかを決める
- 配信頻度の検討: 年間でどの程度の頻度で配信するかを計画する(頻度に応じた料金プランの選択)
- 効果測定方法の確認: 各サービスが提供する分析ツールを比較・検討する
例えば、月に1回程度定期的な配信を行いたいスタートアップ企業であれば、PR TIMESやValuePressの月額プランが費用対効果が高いでしょう。一方、年に数回の重要発表に絞りたい場合は、共同通信PRワイヤーなどの大手メディア重視型を選択するのが効果的です。
ひとつ注意点として、サービスによって得意とする業界やテーマが異なるため、同じプレスリリースでも配信サービスによって掲載結果に大きな差が出ることがあります。重要なリリースの場合は、過去の掲載実績や類似業界の事例をリサーチした上で選定することをお勧めします。
最後に、プレスリリース配信サービスの活用は、PRの一部に過ぎないことを忘れないでください。配信サービスと並行して、重要なメディアへの個別アプローチや、SNSでの情報発信、自社サイトでの詳細情報提供など、複合的なPR戦略を組み立てることで、より効果的な情報発信が可能になります。
➡️ 関連記事:「プレスリリース 配信」(現在、記事執筆中)へリンク
配信効果を最大化するためのポイント
プレスリリース配信サービスを選ぶことはゴールではなく、スタートラインに立ったに過ぎません。実際に私が大手メーカーのPR担当として数十件のプレスリリースを配信してきた経験から言えることですが、同じサービスを使っても成果に大きな差が出ることがあります。ここでは、どのサービスを選んだ場合でも効果を最大限に引き出すためのポイントをお伝えします。
配信タイミングの最適化戦略
プレスリリースの配信タイミングは想像以上に重要です。私自身、同じ内容のリリースでも配信時間を変えただけで、メディア掲載数が2倍近く変わった経験があります。
最適な曜日と時間帯
一般的には火曜日から木曜日の午前中(9時半〜11時)が最も効果的とされています。特に午前10時台の配信はジャーナリストが一日の記事計画を立てる時間帯と重なるため、検討してもらいやすい傾向にあります。
しかし業界によって異なる場合もあります。例えば:
- テクノロジー系:水曜日の午前中が最適(業界イベントが木曜に集中する傾向があるため)
- エンタメ系:火曜日と水曜日の午後が効果的(夕方のニュース向けの情報収集タイミングと合致)
- 金融系:月曜日午前中(週の始まりに投資家向け情報を発信するため)
私が担当した美容関連のプレスリリースでは、水曜日の午前10時の配信が最も掲載率が高いことがデータから明らかになりました。このように、自社の業界特性を考慮して最適なタイミングを見極めることが大切です。
避けるべきタイミング
効果が薄れやすいタイミングもしっかり把握しておきましょう:
- 金曜日午後:週末を控えて記者の締切が迫っているため、新規案件を検討する余裕が少ない
- 月曜日早朝:週末の情報整理に追われる時間帯
- 大型連休前後:情報が埋もれやすい
- 大きなニュースが出ている日:他の話題に埋もれやすい
実際に私が経験した失敗例では、大手企業の不祥事が発覚した日に重要な製品発表のプレスリリースを配信してしまい、ほとんど注目されなかったことがあります。どんなに内容が良くても、タイミングを誤ると効果は半減してしまうのです。
各サービスの分析機能の活用方法
各プレスリリース配信サービスには、配信後の効果を測定する分析機能が備わっています。これらを活用しない手はありません。
基本的な分析指標と活用法
主要な分析指標とその活用方法をご紹介します:
- 閲覧数(PV数): 単純な数値だけでなく、時間帯別・デバイス別のデータを分析し、次回の配信タイミングや最適化に活用できます。
- 滞在時間: 読者がどれだけ内容に興味を持ったかの指標。平均2分未満の場合は、内容の改善が必要かもしれません。
- クリック率(CTR): リンクやボタンのクリック率。自社サイトへの誘導効果を測定できます。
- メディア掲載数: どのメディアに取り上げられたかを分析し、効果的なリリース先を把握します。
ある製薬会社のプレスリリースでは、PR TIMESの分析機能を活用して、どの専門メディアに多く取り上げられているかを分析しました。その結果、予想外の分野(健康情報サイト)からの反応が高いことが判明し、次回からはそのジャンルを意識した内容構成に変更したところ、掲載率が30%向上しました。
サービス別の分析機能の違い
各サービスによって分析機能の強みが異なります:
- PR TIMES: メディア掲載分析が詳細で、どの媒体にどれだけ取り上げられたかが一目瞭然です。業界別のメディア反応も確認できるため、ターゲットメディアの選定に役立ちます。
- @Press: ソーシャルメディアでの反響分析が充実。Twitter(X)やFacebookでの拡散状況を詳細に把握できます。
- ValuePress!: 読者の行動分析(どのリンクがクリックされたか、どの部分で離脱したか)が強み。コンバージョン向上に役立ちます。
- 共同通信PRワイヤー: 地域別の反応分析が詳細で、地方メディアの反応を細かく確認できます。地域特化型の商品・サービスに有効です。
私が実践して効果的だったのは、複数のサービスを使い分けた際に、各サービスの分析データを統合して比較検討することです。例えば、ある商品発表では、PR TIMESでの専門メディアの反応と@Pressでのソーシャルメディア拡散状況を比較し、どちらがターゲット層に効果的だったかを判断することができました。
記者向けピッチと組み合わせた効果的な活用法
プレスリリース配信サービスのみに頼るのではなく、積極的なメディアアプローチと組み合わせることで、掲載率を大幅に向上させることができます。
事前告知の戦略
重要なリリースの場合は、配信の1〜2日前に記者へ事前告知を行うことが効果的です:
- ターゲットメディアの選定: 過去の記事傾向から関心のありそうな記者を5〜10名ピックアップ
- パーソナライズされた事前メール: 「○日にこのようなリリースを配信する予定です。御社の□□という記事との関連で興味をお持ちいただけるかと思い、一足先にお知らせします」といった個別メッセージ
- 独自情報の追加提案: 「掲載をご検討いただければ、リリースに含まれていない追加データや背景情報も提供できます」
私が実践したケースでは、新製品発表前に、過去に類似製品について記事を書いたことのある記者3名に個別メールを送りました。その結果、配信後すぐに2名から取材依頼があり、通常よりも大きな記事で取り上げていただくことができました。
フォローアップの効果的な方法
配信後のフォローアップも重要です:
- 配信当日: 配信から3〜4時間後に「本日リリースした〇〇について、何か質問があればいつでもお答えします」という短いメールを送る
- 翌営業日: まだ反応がない重要メディアには「追加情報や画像等ございますが、お役に立てることはありますか?」と一度だけフォローアップ
- 独自アングルの提案: 「〇〇という切り口で取り上げていただければ、独自インタビューも設定可能です」
ただし、しつこいフォローは逆効果になります。2回以上の連絡は基本的に避け、記者の反応を尊重することが信頼関係構築の鍵です。
個別アプローチとサービス配信の使い分け
すべてのリリースに同じ方法を適用するのではなく、内容によって戦略的に使い分けることが効果的です:
- 大きな企業ニュース(M&A、大型投資など): 配信サービス+個別アプローチの組み合わせ
- 定期的な情報(四半期決算、人事異動): 配信サービスのみで十分
- 専門性の高い業界ニュース: 業界特化型サービス+専門記者への個別アプローチ
- 地域限定ニュース: 地域メディア向けサービス+地元記者への直接コンタクト
私の経験では、リリースの情報価値を「A(重要)・B(標準)・C(ルーティン)」とランク付けし、Aランクには個別アプローチを加え、Bランクは配信サービスのみ、Cランクは自社サイトとSNSのみという運用を行っていました。これにより、リソースを効率的に配分しながら最大の効果を得ることができました。
配信後のSNS展開戦略
プレスリリース配信後、自社のSNSでも情報を展開することで、さらなる波及効果を生み出せます。
効果的なSNS展開のタイミング
配信サービスを通じたリリース公開から1時間以内に主要SNSでの展開を開始するのが理想的です。各SNSプラットフォームごとの特性も考慮しましょう:
- Twitter(X): 最速で投稿し、数時間ごとに角度を変えて複数回投稿
- LinkedIn: ビジネス層を意識し、平日の昼休み(12-13時)に投稿
- Facebook: 夕方以降(18-21時)の投稿が反応率が高い
- Instagram: ビジュアルを強化し、ストーリーズとフィードの両方で展開
ひとつの成功事例として、食品関連のプレスリリースで、配信と同時に料理写真を用意し、Instagram用に再編集して投稿したところ、通常の3倍の反応があり、その投稿から自社ECサイトへの誘導も大幅に増加しました。
メディア掲載を促進するSNS戦略
SNSを活用してメディアの目に留まる可能性を高める方法もあります:
- 記者のフォローと適切なメンション: 関連分野の記者をフォローし、リリース投稿時に直接的でない自然なメンションを行う
- ハッシュタグ戦略: 業界専門家が追いそうなハッシュタグを使用(例:#PR業界 #マーケティング最前線 など)
- データビジュアル化: リリース内の数字やデータをインフォグラフィックにしてSNS用に最適化
あるマーケティングツールのリリースでは、主要な調査結果をグラフ化してTwitterに投稿し、業界のインフルエンサー2名に自然な形でメンションしたところ、彼らが引用リツイートしてくれ、結果的に業界メディア2社からの取材につながりました。
掲載後の二次展開
メディアに掲載された後も、その効果を最大化するための戦略が重要です:
- 掲載記事のまとめ投稿: 「弊社のリリースが○○、△△で取り上げられました」とSNSで紹介
- 記者へのお礼: 掲載後に簡潔なお礼メールを送る(次回の関係構築に効果的)
- 社内共有: 掲載実績を社内で共有し、営業資料などにも活用
実は、この「二次展開」がしっかりできている企業は意外と少ないんです。私自身、以前はこの部分をおろそかにしていましたが、丁寧に対応するようになってからメディアとの関係性が向上し、継続的な取材につながるようになりました。
プレスリリース配信は一発屋ではなく、継続的な関係構築のプロセスです。どのサービスを選んだとしても、これらの「配信後の戦略」をしっかり実行することで、その効果を最大限に引き出すことができるのです。時間と手間はかかりますが、その積み重ねが企業の信頼性とメディアプレゼンスを高めていくのだと実感しています。
費用対効果を高める運用方法
プレスリリース配信サービスを利用する以上、投資に見合うリターンを得たいですよね。私自身、いくつかの企業のPR担当として、様々なプレスリリース配信サービスを使い分けてきました。最初は「高いサービスほど効果が高い」と単純に考えていたのですが、実際に運用してみると、必ずしもそうではないことに気づきました。ここでは、費用対効果を最大化するための実践的な方法をお伝えします。
企業規模別の推奨プラン選択
実は企業の規模やビジネスフェーズによって、最適なプランは大きく異なります。スタートアップ企業と大手企業では、求めるべき効果も違うからです。
スタートアップ・小規模企業向け
小規模企業の場合、PR TIMESやValuePressなどの基本プランから始めるのがおすすめです。月額10,000円前後で、十分な露出が期待できます。私がある小規模SaaS企業のPRを担当していた時、最初はPR TIMESの基本プランだけで運用していました。月に1本のプレスリリースに絞り、その分内容の質を高めることで、業界メディアに取り上げられる確率が格段に上がりました。
「初期費用が気になる…」という場合は、無料プランのあるValuePressやDreamNewsなどから始めるのも一つの手です。ただし、無料プランでは配信先が限られますので、まずは自社サイトでのニュース発信と並行して、知名度を少しずつ上げていく戦略が効果的です。
中規模企業向け
年商数億~数十億円規模の企業なら、月額20,000~30,000円のプランが費用対効果の観点から最適です。PR TIMESのスタンダードプランや、共同通信PRワイヤーのスタンダードプランなどが該当します。
私が担当していた人材系の中規模企業では、PR TIMESのスタンダードプランと時事通信iJAMPのスタンダードプランを併用していました。業界ニュースは前者、より公共性の高いニュースは後者と使い分けることで、費用を抑えながらも最適な配信先に届けることができました。結果として、掲載率は約1.5倍になり、投資対効果も大幅に向上しました。
大企業向け
大企業の場合、多くは月額50,000円以上の上位プランを利用していますが、必ずしもそれが最適解とは限りません。むしろ、複数のサービスを戦略的に使い分けるアプローチが効果的です。
複数サービスの使い分け戦略
費用対効果を高めるために、複数サービスを戦略的に使い分ける方法は特に効果的です。
ニュースの種類による使い分け
プレスリリースの内容によって最適な配信先は異なります。例えば:
- 製品・サービス発表 → PR TIMES、Value Press など(Web媒体への露出に強い)
- 業績・IR関連 → 共同通信PRワイヤー、時事ドットコム(経済媒体への掲載に強い)
- 地域密着型ニュース → 地域特化型サービス(例:東商プレスリリース、関西プレスリリース)
あるアパレル企業の事例では、新商品発表はInstagramとの連携機能が充実しているPR TIMESを利用する一方、CSR活動の発表は共同通信PRワイヤーを利用していました。その結果、新商品はファッション誌やWebメディアで多く取り上げられ、CSR活動は新聞や公共性の高いメディアで紹介される、という理想的な棲み分けが実現できました。
時期による使い分け
年間契約が基本のサービスと、単発利用ができるサービスを組み合わせる方法も効果的です。
私の経験では、月1回程度の定期的な発信が見込まれる場合は年間契約の方が費用対効果が高いですが、年に数回しか発信しない場合は、単発利用できるサービスを選ぶ方が有利です。例えば、NewsWireのスポット配信(1回35,000円程度)やJPubbなどは、単発利用においても優れた費用対効果を発揮します。
地域・言語による使い分け
グローバル展開している企業の場合、言語や地域によるサービスの使い分けも重要です。
日本国内向けと海外向けで異なるサービスを利用するケースが多いですが、PR TIMESインターナショナルや共同通信PRワイヤーのグローバルサービスなど、一元管理できるサービスを選ぶことで、管理工数の削減とコスト効率の向上が両立できます。あるグローバル展開中のスタートアップでは、最初は別々のサービスを使っていましたが、管理の煩雑さから一元化に切り替え、結果的に30%の時間短縮と15%のコスト削減を実現しました。
無料プランの効果的な活用方法
予算に制約がある場合、無料プランを上手く活用する方法も検討する価値があります。ただし、無料プランには当然制限があるため、その特性を理解した上での戦略的活用が鍵となります。
無料プランのメリットとデメリット
主な無料サービスとして、ValuePressの無料プラン、DreamNews、PRTIMESのプレスリリース投稿(配信なし)などがあります。
メリットは明らかにコストがかからないことですが、デメリットとして以下の点を押さえておく必要があります:
- 配信先が限定的(主に自社サイト内か提携サイトのみ)
- 編集機能が制限されている場合がある
- 検索エンジンでの表示順位が有料プランより低い傾向
- 分析機能が制限されている
無料プラン活用の成功事例
私が関わったある地方の小規模飲食店では、新メニュー発表をValuePressの無料プランで配信しつつ、地元の記者にはメールで直接アプローチするという方法を取りました。プレスリリースはGoogle検索で上位表示され、地元の方々への認知向上に貢献しました。さらに、記者への直接アプローチとプレスリリースの存在が相乗効果を生み、地元紙への掲載にも成功しました。コストをかけずに地域向けのPRが実現できた好例です。
無料プランと自社メディアの連携
無料プランを最大限活用するコツは、自社メディア(ブログ、SNSなど)との連携です。例えば、自社ブログで詳細な情報を発信し、そのURLをプレスリリースに含めることで、読者を自社メディアに誘導できます。
あるBtoB企業では、プレスリリースと同時に詳細な解説資料を自社サイトに掲載し、プレスリリース内でその資料へのリンクを設置していました。これにより、記者からの問い合わせが増え、結果的に深い内容の記事化につながるケースが増えました。また、一般読者も自社サイトに誘導できるため、リード獲得にも貢献しています。
有料プランへの戦略的移行
無料プランから始めて、効果測定をしながら段階的に有料プランへ移行するアプローチも効果的です。例えば、最初の3カ月は無料プランで運用し、反応が良ければ基本的な有料プランに移行、さらに効果が確認できれば上位プランを検討するという段階的アプローチです。
私がPR担当をしていたITサービス企業では、最初の半年間はValuePressの無料プランを利用しながら、プレスリリースの書き方や内容の改善に注力しました。その後、一定の成果が確認できた段階で有料プランに移行し、配信先を拡大。結果として、無料プラン時代に培ったコンテンツ作成のノウハウが有料プラン移行後に大きく活きることになりました。この段階的アプローチにより、限られた予算の中で最大限の効果を引き出すことができたのです。
費用対効果を測定する具体的な方法
プレスリリース配信サービスの費用対効果を客観的に測定することも重要です。主な指標としては以下が挙げられます:
掲載数 ÷ 月額費用 = 1掲載あたりのコスト
→理想的には1掲載あたり2,000円以下を目指すと良いでしょう
サイトへの流入数 ÷ 月額費用 = 1訪問あたりのコスト
→一般的にWebマーケティングと比較して競争力があるかチェック
獲得リード数や問い合わせ数 ÷ 月額費用 = 1リードあたりのコスト
→自社の他のリード獲得手段と比較して効率が良いか確認
これらの指標を定期的に測定し、サービスごとに比較することで、最適なサービス選択やプラン変更の判断材料になります。
例えば、私がSaaS企業で実施した分析では、PR TIMESとValuePressの2つのサービスを比較した結果、掲載数あたりのコストはValuePressの方が安価でしたが、質の高いリードの獲得数で見るとPR TIMESの方が効果的だということが分かりました。この分析結果を元に、予算配分を見直すことで、全体の費用対効果を30%向上させることができました。
プレスリリース配信は一見シンプルに見えますが、このように戦略的に運用することで、限られた予算でも大きな効果を生み出すことが可能です。企業の規模やフェーズ、PRの目的に合わせて、最適なサービスとプランを選択し、定期的に効果測定と見直しを行うことが、費用対効果を高める鍵となるでしょう。
さいごに
プレスリリース配信サービスの選定は、企業のPR戦略における重要な意思決定の一つだと痛感しています。私自身、以前のマーケティング担当時代に「どのサービスを選べばいいのか」と頭を悩ませた経験があります。結局、大手だという理由だけで選んだサービスが、自社の業界特性とマッチせず、思うような配信効果が得られなかったことも。あの時、今回の記事で紹介したような比較ポイントを知っていれば…と今でも思うことがあります。
プレスリリース配信サービスの世界は日々進化しています。特に2025年に向けては、AIを活用した効果予測機能や、ターゲットメディアの最適化など、新しい機能が続々と登場しています。単純にメディア数の多さや料金の安さだけで判断するのではなく、自社のニーズや業界特性に合わせた選定が必要なんですね。
特に中小企業やスタートアップの方々は、限られた予算の中で最大限の効果を得る必要があります。一つの方法として、複数のサービスの無料トライアルを活用し、自社のプレスリリースがどのように扱われるかを実際に試してみることをおすすめします。私も以前、3社の無料プランを並行して試し、どのサービスが自社商品の特性に合っているかを検証したことがありました。その結果、メディア数は少なくても業界特化型のサービスの方が反響が大きかったという発見がありました。
また、配信サービスを選ぶ際は、単なる「配信」だけでなく、分析機能やフォローアップ支援なども重視するといいでしょう。どれだけの記者が自社のリリースを閲覧したか、どのメディアが記事化したかといった分析データは、次回以降のPR戦略を立てる上で貴重な情報源となります。「配信して終わり」ではなく、そこから得られるデータを活用するサイクルを作ることで、PR活動全体の成長につながるんですよ。
サービス選定においては、ぜひこの記事で紹介した比較ポイントを参考にしながら、自社の目的や予算に合った最適なサービスを見つけてください。そして何より大切なのは、定期的にサービス内容を見直し、効果測定に基づいて必要なら変更する柔軟性を持つことです。PR活動は一度の成功で終わるものではなく、継続的な改善と進化が求められる分野です。
最後に、どんなに優れた配信サービスを選んだとしても、プレスリリースの内容自体の質が低ければ効果は限定的になります。サービス選びと並行して、「伝えたいメッセージは何か」「なぜメディアや読者に興味を持ってもらえるか」という本質的な部分にも目を向けることが、真のPR成功への道だと信じています。みなさんのPR活動が実を結び、素晴らしい成果につながることを心から願っています。